きっかけはアカデミー賞ノミネート作品『頭山』で有名な山村浩二監督の新作アニメーション『年をとった鰐』を観たことでした。どこをどう解釈すればいいのか全く見当がつかないのですが、胸に残り心に響く何かがあって、復刻された原作本レオポルド・ショヴォー作、山本夏彦訳の『年を歴た鰐の話』をアマゾンで購入してしまいました。そして、驚きました。山村浩二さんのアニメーションはかなり原作に忠実に作られていたからです。原作に対する愛情や敬意の深さを感じました。
こういう不思議なお話を読んだとき、どうしても作者の意図を読み取ろうとするのが人の常だと思います。しかし、解説にもあったとおり、深読みが作者の意図を明らかにすることはまれで、むしろ、読み手の心理というか内面をあからさまに暴き出すことになってしまうようです。例に漏れず私もこの本を深読みして、自分自身の内面を暴いてみたのですが、このお話の前半部分に関する私の結論は、愛情には精神的な欲と物質的な欲の2つがあり、どちらが高尚かという問題ではないということ。それに、愛情が深いと相手を傷つけてしまうことがあるということ。ワニはタコが好きで尊敬していましたが、それゆえにタコの足にも興味を持ってしまい、どうしても自分を抑えることができなくなり、タコを傷つける結果となりました。滑稽ですが、ひどく切ないです。仕様のない戒めが込められているように思った私の深読みは何を反映しているのでしょうか。後半部分に関してはそこはかとないやるせなさを感じ、人生(鰐生?)って…、とため息をつきました。【タカダ】 --- 11月下旬、「『年をとった鰐』&『山村浩二セレクト・アニメーション』」 神戸アートビレッジセンターにてロードショー決定! --- 『The Old Crocodile(年をとった鰐)』 2005年/13分/配給:ジェネオン エンタテインメント+ヤマムラアニメーション+スローラーナー 演出、脚本、アニメーション、編集、製作:山村浩二 語り:ピーター・バラカン 原作:レオポルド・ショヴォー
by kavc_apf
| 2006-09-21 22:35
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